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今思えば教師失格だった

 

 今夜のフィリピン女史、フィリピンの東大、つまり、フィリピン大学卒、同修士課程。国から3つの奨学金をもらい、アルバイトもして、自活。高校時代も奨 学金。フィリピン大学入学時、彼女の学部入学者500人、卒業できたのは、20名程度。そんな厳しい大学で、成績不良で落第どころか、奨学金も停止になら ず、サバイバルしてきた。高校時代、英数理が得意、つまり、全科目優秀という彼女は、大学の教師なんかは退屈だから、ビジネス界に行くという。

 

 そんなすごい先生から英語を習うなんてこと、なかなか、できるもんじゃない。が、一点、問題発見。話をしていて、面白くないのだ。その原因は、どうや ら、彼女は、「生徒」に関心がないってこと。タイ語の場合もそう。タマサート大学の院生で、タイ人には「珍しく」日本語がすごい。日本の何かの独立法人の 招待で来日経験あり。が、彼女もクールで、「生徒」に関心がない。きちっと教えてくれて、勉強にはなるのだが、熱が感じられない。

 

 もちろん、70歳近くになる初老のおじいさんに、若い娘が関心・興味を持つなんてことは、期待する方がおかしい。だが、この三年間、中国語、タイ語、韓 国語、もう、数えきれない「先生」たちの「授業」を受けてきた。スカイプ外国語の授業は、生徒が先生を指名する。人気のない先生は、空き時間が多くなる。

 

 逆に、人気のある先生の時間は、なかなか、とれない。「デク・キツカン」(活発な子)でもあり「デク・ドリアン」(勉強家)でもあると、タマサート大の 同じ日本語科のクラスメートも認める某先生は、18歳。彼女の授業を予約するのは至難のわざ。僕たち生徒の話に耳を傾けるだけじゃなく、興味を持って、問 いかけ、しかも、その内容を記憶している。英語のフィリピン人も、韓国語の韓国人も、中国語の中国人も、みな、同じ。最近では、僕も、少し慣れてきて、 「レッスンに遅れて入ってきた先生に、謝罪はいいから、お金で返して」などと、結構、冗談を言うから、「辻さんは幽默(ヨウモー)がある」と中国人の先 生。

 

 人のふり見てわが身をなおせ。遅すぎた。「ほっとけ・仏」の僕は、生徒に関心を示さなかった。授業を始めた途端、眠りにつく生徒を起こすこともなかった。過去を振り返れば、懺悔の毎日。だから、やーめた、過去を見るのは。

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